『隣の家の少女』ジャック・ケッチャム著/読了

実際の事件を基にして描かれた作品。「ミステリ」のカテゴリに書いたが、これは紛れもないホラー。人間の闇の部分を、これほどまでに生々しく描いた残酷で野蛮で、そして恐ろしい作品は珍しい。S.キング氏が書かれたあとがきには、「ケッチャム氏らしい素晴らしい作品」と書かれているが、ある意味納得。同様に「この作品の好き嫌いは、ハッキリと分かれる」とも記されているが、その点も大いに納得した一冊。

物語は1958年のアメリカの田舎町で始まる。車の事故で両親を亡くした少女メグと、その妹のスーザンが隣の家に引っ越してきた。美しいメグに心を奪われる12歳の私は、ある日、隣の家でメグが折檻されている姿を見てしまう。そしてそれは辛く哀しい事件の始まりでもあった。

読んでいて何が不快だったかと言えば、「ひょっとすると自分も傍観者と言う名の共犯者になるのではないか」と感じてしまうことだった。自分の子供に、メグを折檻するように強制する隣家の母親リースの「誰にも言うんじゃないよ」の魔法の言葉で、子供たちは傍観者から加害者になり、その加害者の和が少しずつ広がっていく恐怖。誰一人メグを助けようとせずに、折檻に手を貸す子供たちの心理。読後、何かに救いがあったのかと思い返しても何も思い浮かばず、ただ纏わりつくような不快感だけが残ってしまう。誰かにお薦めできる本では無いが、唯一、人の弱さと脆さをこれほど巧みに描いている作品は少ないかもしれない。私、痛いの嫌いなので、苦手な作品でした。ちなみにこの作品は、2007年に映画化もされています。

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