『クロイドン初12時30分』F・W・クロフツ著/読了

農場を経営するピーター・モリーは娘と叔父、そして叔父の使用人を連れて、ロンドンのクロイドン空港から、パリへと向かう飛行機に搭乗した。目的は妻がフランスで自動車事故に巻き込まれたとの知らせを受けたため、急遽、飛行機に飛び乗ったのだ。だが目的地の空港に付く前に、叔父のアンドルー・クラウザーが機内で死んでしまう。資産家の叔父の死ははたして自然死か、事故か、それとも―。『樽』と並ぶクロフツの代表作。

構成の起承転結がハッキリした作品、と書くと分かりにくいか? 作品は倒叙形式で描かれているので、犯人は直ぐに分かります。その犯人が犯行に至る心情や葛藤、そしてアリバイ工作の過程が描かれ、その犯行にほころびが生まれ、崩れていく中盤以降。裁判でのハラハラがあり、最終的な解説―みたいな流れの作品。

面白いのは確かに面白いのですが、どちらかと言えばツウ向きの作品で、初めてミステリを読むという方には、お薦めしないかな~。その理由は良くも悪くも丁寧に描かれているので、少し長い様な気がするから。本を読みなれていない方だと、飽きてしまうかもしれません。クロフツだと『樽』も面白いですけど、『二つの密室』が印象に残っています。たぶん今は絶版でしょうけど、今度古本でも探してみようと思います。

ちなみに「倒叙形式」とは、最初に犯行の様子や犯人を見せてしまい、あとからその犯行に至る過程や露見していく様を見せてしまう作品のことで、『刑事コロンボ』等は、その代表作品ですね。

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