住宅が5000万円の時代が目前に

住宅が一棟5000万円する時代が、目前に来ているという記事を読みました。あくまでも大手HMの売り上げデータを基にした記事でしたが、理解できる点は多々ありました。国の政策により家に求められる断熱・気密・耐震性能への基準ラインを引き上げ、一定の基準に達しない家に関しては、ローンや税金の面において優遇しないと発表したこともあり、家には「求める求めない」に関わらず高性能化が標準化されることになりました。当然、その性能の担保には工事費が増加することに繋がります。こうなると家は欲しいが手が出ない人が、増えることになります。と、どうなるか? 今まで以上にローコストを謳い文句にした家が登場するのです。所謂、逆張り方式です。

注文住宅、5千万円超え(土地代除く)が常識に…高性能化と省エネ義務化で価格上昇

今までもローコストを売り文句にしていたHMは複数社有りましたが、これからは更に増えるような気がします。ただし今までのようなローコスト住宅とは、少し違う形になると思います。例えば3Dプリンター・ハウスがその代表でしょう。今は広さや階数に規制がありますが、今後は複数の定型間取りが企画され、その中から自分のライフスタイルに合った家を選択して購入するようになるかもしれません。これは技術の進歩によるローコスト化ですが、労働力の低価格化によるローコストもあるかもしれません。たとえば家を造る職人全員が、外国人に変わっていく可能性も考えられます。

今の建設業界の最大の悩みは職人の高齢化です。日本の伝統的な技術や知識・知恵を引き継ぐ職人が居なくなっていることから、これらの主要な部分を工場で機械で組み立て、現場に運んで組み立てるだけの家造りに変わっていくことも考えられます。というか、すでに大手HMの大部分は、この要領で家を建てています。例えば売り上げNO1を掲げる某HMでは、基礎工事は外国人、建物の主要部分を工場で製造し、それを現場に搬入して組み建てる際の大工はすべて外国人。その後の接続部分といった細かい作業は日本人の大工が行うと言う具合に、内容により分かれています。これ近いうちに、完全に外国人だけで建てる「和風の家」なんて物が出来るのではないかと思っています。もっとも外国人労働者が、単価が安いのかと聞かれれば、それは分かりませんけどね……。

少なくても建設費用の高騰により住宅の二極化が進んだ場合、ローコスト住宅の質は今よりも悪くなるのではないかと心配しています。それなら新築を諦めて中古住宅を購入すればよいと考えるのですが、日本て「紙と木で出来ている家」に長く住んでいるため、欧米のように100年も150年も壊れずに建っている家を購入し、移り住むという文化と言うか感覚が薄いのだと思います。悪く言えば、短いライフサイクルでしか持たない家を提供し続けてしまったが故に、質の高い中古住宅を見付けることが難しく、結果的に新築住宅を欲するという思考になっているような気がします。

家が土地代抜きで5000万円となった暁には、一体どんな世の中になるのでしょうね。

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