『彼女がその名を知らない鳥たち』沼田まほかる著/読了

八年前に分かれた黒崎を忘れられない十和子は、寂しさを埋めるために十五歳年上の陣冶と暮らしていた。心の中では陣冶の下卑て粗野で卑屈な性格を嫌いながらも、寂しさから離れることが出来ずにいた。そんな十和子の前に現れたのはデパートに勤める、陣冶とはまるで違うタイプの男・水島。寂しさを埋めるためか、どんどん水島との関係を深めていくそんな時、黒崎が数年前から失踪していたことを知る。ひょっとして陣冶が何かしたのでは? と、疑いを持つのだが――。

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登場人物が全員、嫌いでした。十和子の自分勝手で我儘で、働くこともせず家事もせず、自堕落な生活を続けて、陣冶のことを愚弄するだけの人間性。八年前に別れた男の想い出だけを拠り所にし、いつかまた連絡が来るのではないかと待つ未練がましい女。陣冶は、その下卑た振る舞い、不潔さ、プライドの無さが匂うよう。そして水島の計算高い振る舞い。

苦痛のあまり、途中で読むのを止めようかと思ったほど。だけど中盤から徐々に雰囲気が変わります。その顛末はお見事で、作品としては面白かったです。ただし好き嫌いは、ハッキリと分かれる作品でしょう。

 

 

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