『誘拐遊戯』知念 実希人　著／読了

女子高生を誘拐する事件が発生した。犯人は四年前に女子中学生を誘拐し、無残に殺害した犯人と同じ「ゲームマスター」を名乗った。ゲームマスターは身代金の運搬役に、四年前の誘拐事件の際に運搬役を務めた刑事・上原慎吾を指名するのだが、上原は女子中学生を救えなかったことに責任を感じ、すでに警察を退職し警備会社に勤めていた。再び誘拐事件の現場に引き戻されることになった上原は、四年前の屈辱を晴らし、女子高生の命を救うために東京中を駆け回ることになるのだが……。

こういうの好きです。もっと大掛かりにして、劇場型犯罪にしても良かったと思うぐらいですが、でもこれはこれで楽しかったです。作者が意図するミスリードもチラチラと垣間見えたり、ミスディレクションも楽しめました。

また身代金の運搬役に指名された上原の背景を丁寧に描くことで、物語に厚みが増しているような気がします。腑に落ちない点が無かったわけじゃないですが、ミステリを読むときには、「気持ちよく騙されたい」と思っているタイプなので全然OKです。

お家時間が増えざるを得ないこんな状況ですが、たまには読書で過ごされるのも一興かもしれません。