読書感想文が苦手だった話|夏休みになると思い出すこと

はやいものでもう7月。今年も半分を終え、後半に向かうのかと思うと、いろいろと怖いですね。学校に通うお子さんたちは、近づく夏休みを楽しみにする時期なのかもしれません。ただし夏休みの宿題は、今でもあると思うので、単純に楽しいばかりでもないのでしょうが。

私は小学生の頃、夏休みの宿題の中で読書感想文がとても苦手でした。今では文章を書くことも好きですし、本を読むことも好きなのに、それでも子ども時代は読書感想文の宿題が苦手でした。

今になればその理由を言語化することができますが、当時はうまく説明することができず、ただただ辛く、嫌な宿題だったという記憶しかありません。

苦手だった理由は、「この本を読んで感想文を書きなさい」と提示された夏休みの課題図書が、面白くなかったからです。どの課題図書を読んでみても、当時の私は面白いと思えなかったのです。

面白くない本の感想を書くときに、「面白くなかった」と書いて良いとも思えなかったので、どう書いて良いのかわからなかったのです。今ならば面白くない本でも、良かった点を探して書くことはできますが、小学生の稚拙な思慮では、そこまで頭が回りませんでした。

別に課題図書の選定がおかしいと言っているわけではありません。ただ、読みたいと思う本と出会い、その本のどこが面白かったか、あのシーンであの人物が言ったセリフが笑えた――そんな話を誰かにしたい、伝えたいと思うことは、大人になった今でもありますよね。そう思える本が、なかったという話なのです。

今ならば、「なぜこの本は面白くないと思ったのか」を書くことができます。それが本を正しく読んだ、正直な感想だからです。すべての本が自分にとって面白いはずなどないと知っている今なら、マイナスのベクトルの感想文だったとしても、立派な感想文を書いたことでしょう。ですが子ども時代の私にはそれができなかったのです。今さらながら、少し勿体ないことをしたと思いますが、仕方ありませんね。

もしお子さんが夏休みの読書感想文に悩んだときには、なぜ書けないのかをちゃんと聞いてあげてください。時間があれば親御さんもその本を読んでみてください。同じ本を読み、「私はこう思った」「僕は違う」「あのシーンは好きだった」「終わり方は残酷だった」と感想を共有してみることをお薦めします。

その結果、素晴らしい感想文が書ける保証はどこにもありません。しかし、親と子が一冊の本を読み、感想を語り合えた時間は、きっと夏休みの大切な記憶として残るはずです。

本は一人で読むものですが、感想や感情は誰かと共有できるものなのですから。


安井俊夫|天工舎一級建築士事務所
一級建築士・『建築トリック謎解きガイド』著者。建築や暮らし、本について日々感じたことを書いています。