連休中、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。私は久しぶりに、自宅でゆっくりと読書を楽しむ時間を過ごしました。ここ最近、あまり本を読むことが出来ていなかったので、一冊の本とじっくり向き合う時間は、良いリフレッシュになったと思います。読んだのは、早見和真さんの『アルプス席の母』。2025年本屋大賞で2位を受賞した話題作で、高校野球に全てを捧げる一人息子の成長と、それを見守る母親の葛藤と愛情を描いた物語です。
私自身、プロ野球をよく観るので、その「原石」たちが集う高校野球も、自ずと観ています。しかし、この作品の主役は野球をする息子ではなく、その背中を見守る「母」の姿です。甲子園常連校という厳しい環境、保護者会のリアルな実情、神奈川から息子が入学した学校の傍で暮らしたいと考えて、転居した慣れない土地大阪での暮らし。野球そのものよりも、母として、一人の人間として成長していく姿に、思わずグッとこみ上げる場面が何度もありました。
特に心に残ったのは、野球とはまったく関係のない日常の風景でした。主人公の母親が暮らす6帖一間のアパートに、息子のチームメイト4人が訪れ、みんなで一緒にご飯を食べるシーンでした。特別な事件が起きるわけではありません。それでも、狭い部屋で若者たちが賑やかに食事をする光景に、なんだか胸が熱くなりました。
昔から親と子が一緒に食卓を囲む回数は、人生においてそれほど多くないと思っています。
三食を共にするのは、せいぜい幼稚園に入る頃まで。小学校、中学校と成長するにつれ、塾や部活でその機会は減り、高校生ともなれば休日ですら、一度揃えばいい方かもしれません。ましてや本作のように、全寮制の学校へ進めば、一緒に暮らすこと自体が当たり前ではなくなります。
家族が揃って食事をする。
その何気ないひとときが、どれほど貴重で、かけがえのない時間であるか。この本はそんな大切なことを改めて教えてくれました。野球が好きな方はもちろん、日々、家族のために奮闘しているすべての方に、お薦めできる一冊でした。

ちなみに今読んでいるのは、野球繋がりの一冊。中村有里さんの『日々、タイガース、時々、本。猛虎精読の記録』。
9連戦明けの今日は試合も無いので、きっと直ぐに読み終えることでしょう。

執筆者:安井 俊夫(天工舎一級建築士事務所 代表)
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