「ゲラ期間」と聞くと、本作りも佳境に入って、著者が完成を前にワクワクしている時期のように聞こえますが、実際には、そう景気の良い話ではありません。
試し刷りされた原稿を前に、誤字脱字はないか、言い回しに無理はないか、見出しや改行の具合はこれで良いか、ページの見え方に違和感はないか。そんなことを一つずつ確かめていく、なかなか地味で根気のいる作業です。原稿を何度も頭から読み直す作業ですし、読むことが遅い身とすれば、けっこう大変です。
つまり「サイコー!」と、叫んで浮かれているわけではなく、二度目のチェックとしての「再校」の時間なのです。
しかも原稿を直す際にも苦しいやら申し訳ないやら、全方向に謝りながら修正しています。理由は修正が必要と付箋が貼られた箇所を直していると、前回直したはずの箇所が、また気になり、今度こそこれでよし、と思った次のページで、今度は句読点が気になりだすから。
せっかく編集者さんが苦労して文字数を調整したばかりのページに、要らん添削を加えてまた文字数を乱してしまいます。申し訳ない気持ちになりながら、一度気になると直すしかないので、結局書き直してしまう。しかも汚い文字で……。原稿って「これで大丈夫、完璧」なんてことには、ならないのです。
本になる直前というと楽しそうに思えますが、実際には机に向かって細かなところを延々と見直す、静かで孤独な時間でもあります。私も自分が経験するまでは、「いいな~」なんてボンヤリと想像していましたが、実際に遣るとそんな簡単な話ではありません。まして私みたいに、ふだんからその作業に慣れていない者にとっては、想像以上の苦労です。
ですがこの間のひと手間、ふた手間を抜いてしまうと、本はやはり本らしい顔になってくれないのでしょう。
というわけで、ただいま再校中。
「ゲラ期間サイコー!」ではなく、けっこう苦しみながら、最後の調整をしている最中です。
執筆者:安井 俊夫(天工舎一級建築士事務所 代表)
「自分たち家族は、この先どんなふうに生きていきたいのか」
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