以前ご紹介した住宅のリフォーム現場の様子を見に行ってきました。
雨漏りの心配があるとのことだったので天井を開けて確認したところ
原因は雨漏りではなく軽微な結露であることが分かり、一安心。

必要な対策を施したうえで天井を元通りに復旧し、事なきを得ました。
その作業の最中、小屋裏に幣串(へいぐし)が納められているのを見つけました。
「幣串」とは、建物の骨組みが完成したことを祝う上棟式の際に
工事の安全とご家族の末永い繁栄を祈願して用意される縁起物のことです。
上棟式の後、家の中で最も高い場所である棟木付近に納められ
完成後は誰の目にも触れることなく、建物と家族を見守り続けます。
いわば「家」と「家族」のお守りです。

最近は上棟式そのものを行わない住宅も増えたため、幣串のない家も珍しくはないようです。
だからこそ、こうして天井裏で再会すると、不思議と胸が熱くなります。
完成してしまえば誰の目にも触れることはありません。
それでも、この家が建てられた日の願いや、現場に携わった人たちの想いは、
今も静かに小屋裏で家を見守り続けています。
そして私は、24年前の上棟の日を思い出します。
棟木へ納められる幣串を見上げていた、あの日の自分の姿を。
建築士として何十年も仕事をしていても、こうした瞬間に立ち会えることは
何度経験しても嬉しいものです。
家は完成した瞬間に終わるものではありません。
こうして何十年に一度、天井裏をのぞくたびに、建てた日の記憶が今も息づいていることを教えてくれます。
それは家人の歴史であり、家の歴史であり、そして私自身の歴史でもあると思えるからです。
執筆者:安井 俊夫(天工舎一級建築士事務所 代表)
「自分たち家族は、この先どんなふうに生きていきたいのか」
ご家族の想いを大切にし、時間が流れて変化していく慣れ親しんだ物理的な器としての家づくりを、お手伝いしています。
小田原周辺での住宅設計や、日々の積み重ねを大切にした無理のない省エネリフォームなど
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