東野圭吾さんが大腸がんのため68歳で亡くなられたとの訃報に接し、ただただ驚くとともに、大変残念な思いでおります。
心よりお悔やみを申し上げます。
東野さんを一度だけ、すぐ近くでお見かけしたことがあります。
2009年、有栖川有栖氏との共著『密室入門!』が第9回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)の最終選考にノミネートされ、その選考会場を訪れた際のことでした。私が座っていたテーブルの三列ほど前の長机で、東野さんが突っ伏すように眠っておられる後ろ姿を、お見掛けしました。
当時は数々の作品がベストセラーとなり、映像化も相次ぐなど、執筆に加えて取材やイベントなど極めて多忙な時期だったと思います。
「さぞお疲れなのだろう」と感じたことを、今でもよく覚えています。その何気ない光景が、今となっては忘れがたい思い出になってしまいました。
その2年後、洋泉社MOOK『東野圭吾全ガイドブック』の刊行にあたり、インタビュー形式の記事を寄稿させていただく機会がありました。一級建築士であり、ミステリ愛好家でもある立場から、東野作品の魅力について語らせていただいたものです。
とくに初期の作品である『放課後』『卒業』『白馬山荘殺人事件』『ウインクで乾杯』などの面白さについてお話ししました。
このインタビュー掲載のきっかけとなったのは、2006年に上梓した拙著『犯行現場の作り方』でした。
同書では『十字屋敷のピエロ』に登場する建物を題材に、その構造やトリックについて検証・考察させていただきました。
さらに2013年に刊行された『東野圭吾全ガイドブック 増補改訂版』では、私が考察・作図した『十字屋敷のピエロ』の平面図も掲載していただきました。
一読者として、そして東野先生の作品を題材に執筆する機会をいただいた者として、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
これまで数多くの素晴らしい作品を世に送り出してくださったことに、深く感謝申し上げます。
執筆者:安井 俊夫(天工舎一級建築士事務所 代表)
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