『家日和』 読了-16

 
物語はいつも日常から始まるもの。
そして日常とは、勿論、家そのもの。
これは、そんな家の中で起こる様々な人の日常が、少しずつ描かれている短編集です。
けして「建築のHOW TO本」ではありません。

六話からなる短編集なのですが、面白かったのは『妻と玄米御飯』と言う作品。
ロハスな生活に目覚めた妻が、食事から石鹸、タオルや衣類、果ては健康法に至るまで、「ロハス」に毒されていく。妻の周囲もロハス信奉者が集まり、作家の夫と子供は、食べたくも無い玄米御飯を食べさせられる毎日が続いていた。たまにはトンカツ食いたい。から揚げ食いたい。ハンバーガーが食べたいと、三人はストレスが溜まる一方。

ついに我慢の限界に達した夫は、依頼された短編小説に、ロハス信者をおちょくった作品を書いてしまう。原稿を見た編集者も、「これは面白い!」と、大絶賛するのだが――。 

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これ、妙なリアリティがあって面白かったです。
ロハス信者の奥さんが建築雑誌を見ながら、「この家の木は国産物だし、職人の手加工だから、通常の四割り増しの値段だけど素晴らしいのよ!」と絶賛するくだりは、ホントにありそうな話です。
たぶん、こんなふうに考えている方は、沢山実在するのでしょうね。

勿論、ロハスの精神は良いことだと思うし、素晴らしいこと。だから反論はないし、それを推進する人たちには、拍手を送りたい。でもそれを大上段に振りかざされると、ちょっとこっぱずかしい。
でも正しいことだから、それとなく「麦御飯は止めてくれ」とは言えても、「絶対に嫌だ!」とは言えない辺りのもどかしさ。その辺りの夫の心情が、とっても笑えます。

家族の中にある微妙な思いやりと気配り。
その辺りが、ほのぼのと感じられる一冊でした。


天工舎一級建築事務所
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コメント(2)

もか (2010年7月14日 01:03)

探偵長様、こんばんは

奥田さんの重量感のある話もいいですが、
この本いいですよね。

私もロハスの話しも面白かったのですが
「家においでよ」が、私達夫婦と同じマー君と私の名前で妙に親近感があって反省もある話しでした。


そして・・・
拙宅、HPの表紙から見に来てくださってたのですね
あちこち書き散らかしてきたので
ブログだけ残して、整理したのです。
相変わらず、きまぐれに更新しながら細々と続けています。
気にかけていただいてたのに、大変失礼しました。
一応、URL残させていただきますね。

読み逃げばかりで恐縮ですが
今後とも細く長くお付き合いしてくださると嬉しいです。

探偵長 (2010年7月15日 18:17)

もかさん、こんにちは。
「家においでよ」は、私も共感できました。
若い時に造れなかった男の城、それを造れる年齢と収入があるときなら
きっと誰もが夢見る世界だと思います。

ところが結婚して子供が生まれれば、独身を前提とした「男の城・男の空間」から
程遠くなってしまうのは、仕方の無いことだと思います。
その辺りの雰囲気、とっても分かりました。
いやこの辺りの雰囲気は、女性にも共感できる部分ではあると思いますが。


それからHPを整理された件、了解しました。
最近のブログは、とても便利で高機能になってますから、それだけで大抵のことは事足りてしまいますからね。
それでも、これからも宜しくです。

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